サラリーマンとして就労されている「北の株式投資大学」のメンバーから、個別面談を通して、『iDeCo』の活用方法について質問がありました。面談の限られた時間の中では、全てを語りきることができませんでしたので、改めて『iDeCo』をまとめたいと思います。
いまさら聞けない『iDeCo』とは?
いきなり結論から入りますが、自分の所得を自由に決められる自営業者の場合は、わざわざ所得を高めてまで『iDeCo』に資金を割く必要は無いと思います。「北の物販大富豪の戦略術」・・・「米国成長株」への個別投資の全振りから逆算して会社法人の経営をした方が良いはずです。
けれども、ガチガチに所得を管理されているサラリーマンの場合は、給与収入の一部を「iDeCo」に振り分ける選択肢もあるかもしれません。『iDeCo』は個人型確定拠出年金システムのことで、個人が貯蓄することで退職時に生活水準の維持を目的とした年金の基盤を構築することを目的としています。
個人が通常の給与から一定の割合を確定拠出することを基本としていて、この確定拠出は、個人自身が選定した信託基金などの投資信託に対して行われます。退職時には、貯蓄額から年金として受け取ることができます。毎月一定の金額を積み立て運用して、60歳以降に受給可能な公的制度です。
(1)投資が節税になる
サラリーマンなど、所得の受け取り方や金額をコントロールできない立場の方々にとって「公的節税手段」になります。
(2)儲けた利益分自体は非課税
ただし元本+利益を受け取る時には個人所得として計算されます。受け取り方や他の60歳以降の収入のあるなし、金額よって所得税は異なります。
◆特典1:障害給付金
病気やケガなどで障害を抱えたときに引き出せるお金
障害給付金受給の条件
・60歳前でも「高度障害」に該当すれば受給可能
・障害基礎年金(1~2級)を受給している
・身体障害者手帳(1~3級)を受ける
・療育手帳(重度)の交付を受ける
・精神障害者保健福祉手帳(1~2級)の交付を受ける
◆特典2:死亡一時金
加入者本人が死亡してしまった場合、遺族が受給可能
遺族とは?妻・夫、子ども、両親、孫、祖父母、兄弟・姉妹
◆特典3:老齢給付金
60歳〜75歳の好きなタイミングで受給可能
以前は70歳までだったが、制度改正により75歳までに拡大
60歳時点で、積立・運用期限が10年未満の場合、受給開始年齢が後ろ倒しになる
『iDeCo』のメリット&デメリット
『iDeCo』のメリットとは?
(1)運用収益が非課税
通常の証券商品の投資の収益には約20%の税金がかかりますが、『iDeCo』の運用収益は非課税です。
(2)投資金額は全額「所得控除」される
所得税・住民税が軽減されます。年末調整や確定申告で税金が戻って来ます。特に、所得に逃げ場の無いサラリーマンにとっては大きな節税メリットです。
(3)受給の際の税負担が軽減される
一時金形式で受給すると「退職所得控除」、年金形式なら「公的年金控除」、共に税負担が軽減されます。
(4)証券会社の運用コストが安い
証券会社で一般販売される投資商品と比較して、運用期間中のコストが低く、購入手数料のかからない商品も多数あります。
(5)iDeCo資産の差し押さえ禁止
銀行含む民間企業からの差し押さえは禁止です。ただし「国税」は例外です(笑)。
『iDeCo』のデメリットとは?
(1)受給の際に税金がかかる
受給の際の税負担の軽減はあるものの、所得税として税金はかかります。金額は受給方法や退職金の有無等でも変わって来ます。
(2)元本割れのリスクがある
個人での資産運用になるので、通常の株や投資信託のように「元本割れリスク」がある元本割れしても100%自己責任です。無知のまま適当な案件や、証券会社から勧誘されるがまま投資商品を選択すると負ける可能性が大きくなります。
(3)原則的に60歳になるまで受給できない
60歳になるまで受給できないし、途中解約も原則認められていません。ただし、死亡の際や高度障害を負った際が例外となります。
(4)手数料がかかる
・加入時の手数料:2,829円(初回のみ)
・毎月の手数料
国民年金基金連合会への手数料:105円/月
信託銀行への手数料:66円/月
・運営管理機関(金融機関)への手数料:
0円~数百円/月(金融機関により異なる)
・給付時の手数料
給付手数料:440円/回
『iDeCo』のメリット・デメリットの両方をよく理解した上で、『iDeCo』を活用するかどうか、決める必要がありますね!
『iDeCo』を始める際の流れ
給与収入の一部を振り分けて、退職時に生活水準の維持を目的とした年金の基盤を構築することを目的とした、個人型確定拠出年金システム『iDeCo』。『iDeCo』を始める際のステップを解説します。
◆ステップ1:金融機関の選択
『iDeCo』は、一人一口座のみ開設可能で、運営管理機関となる金融機関を一つ選ぶ必要があります。長期的なお付き合いとなるため、手数料やサービス内容を比較し、ご自身に合った金融機関を選定することが重要です。途中で金融機関を変更することも可能ですが、その際には手続きに約1~2ヶ月かかり、手数料が発生する場合があります。
◆ステップ2:毎月の掛金額を決定
掛金は、毎月5,000円以上から設定できます。上限額は職業によって異なり、例えば、公務員は月額12,000円、企業年金のない会社員や専業主婦(夫)は月額23,000円、自営業者は月額68,000円となっています。掛金の変更は、年に1回可能です。
◆ステップ3:運用商品の選択
選択する金融機関によって、提供される運用商品が異なります。元本確保型の商品や投資信託など、多様な選択肢があるため、ご自身のリスク許容度や投資目標に合わせて選択しましょう。
◆ステップ4:掛金の拠出と運用の開始
決定した掛金は、毎月指定の口座から引き落とされ、選択した商品で運用が開始されます。掛金の拠出はいつでも休止・再開が可能ですが、原則として60歳まで引き出すことはできません。
◆ステップ5:受給開始
10年以上の加入期間を経て、60歳以降に受給を開始できます。受給方法は、一時金(一括受取)や年金(分割受取)、またはその併用型から選択可能です。70歳までに受給手続きを行わない場合、70歳時に全額が一時金として支払われます。
『iDeCo』はあくまでも、長期的な資産形成を目的とした制度であり、掛金や運用商品、受給方法などを慎重に検討することが重要です。また、金融機関の選択や掛金の設定にあたっては、最新の情報を確認し、ご自身のライフプランに合わせて適切に対応しましょう。
『iDeCo』の節税テクニック
『iDeCo』の節税テクニックをお話する前に、まずは『iDeCo』の受給方法について理解する必要があります。『iDeCo』の受給方法は3種類あります。
(1)年金方式(分割受給)
・60歳以降、5年~20年の間で分割して受け取る方法。
・毎月または年ごとに一定額を受給可能。
・受給額は「固定金額」または「資産額の一定割合」から選べる。
・一部の金融機関では終身年金として受け取ることも可能。
(2)一時金方式(全額一括受給)
・60歳以降に積み立てた金額を一括で受け取る方法。
・退職所得控除を活用すれば大きな税制優遇が受けられる。
(3) 年金+一時金の併用受給
・一部を一括で受け取り、残りを年金形式で受け取る方法。
・退職所得控除と公的年金等控除を組み合わせることで節税が可能。
これらの受給方法を踏まえた上で次に『iDeCo』の受給時の税金と節税ポイントをお話します。まず『iDeCo』は、受給方法によって、税金の種類が異なります。
(1)年金方式(分割受給)の場合
・税区分:雑所得
・受給額が公的年金控除の範囲内なら非課税。
・65歳未満なら年間60万円まで、65歳以上なら年間110万円まで非課税。
・厚生年金や国民年金と合算して計算されるため、受給額が多い場合は課税対象。
(2)一時金方式(全額一括受給)の場合
・税区分:退職所得
・退職所得控除が適用され、課税対象額が大幅に減る。
・加入年数×40万円(20年超えた場合は70万円)が控除額。
・例、30歳から60歳まで30年間積み立てた場合、退職所得控除は1,500万円まで適用可能。
・退職所得は「退職所得控除を引いた額の半分」が課税対象。
(3)年金+一時金の併用受給
・一時金として「退職所得控除」を最大限活用し、残りを年金形式で受け取ることで「公的年金控除」も適用可能。
・退職金と『iDeCo』受給時期をずらすことで、退職所得控除を2回活用可能。
節税テクニックとしては、まずは「一時金」で退職所得控除を最大活用します。会社からの退職金がない人は、60歳で一時金として受給すると大幅に節税可能です。会社からの退職金がある場合は、受給を65歳以降にずらすことで「退職所得控除」を2回使えます。
次に「年金」として公的年金控除の範囲内で受給します。65歳以上なら年間110万円までの年金受給が非課税。受給額を調整し、国民年金+厚生年金+『iDeCo』合計額が110万円を超えないように工夫すると良いです。ご家族がいらっしゃる場合、特別な給付時の税金も抑えておきましょう。
障害給付金
・年金・一時金・併用のどの方法でも非課税。
死亡一時金
・一時金のみ受給可能。「みなし相続財産」として、法定相続人1人につき500万円まで非課税枠が適用。
・例:法定相続人が配偶者と子1人なら、1,000万円まで非課税。
・生命保険金や死亡退職金も合算されるため、事前に確認が必要。
これらは、受取人(遺族)が自分で請求する必要があり、死亡後3年以内に手続きをしないと非課税枠を適用できないので、あらかじめ家族にもお話しておくことは忘れずに。
『iDeCo』で米国市場に投資するには?
僕たち『北の株式投資大学』のメンバーたちは共通して、「米国成長株」、個別株に投資しています。多くのクズ株も、セット販売させられてしまう、投資信託は原則として買いませんが、『iDeCo』の場合は、選択肢が無いので、できる限り「米国に長期投資」ができる案件に投資したいですね。これを前提にお話しますが。『iDeCo』では、主に2種類の運用商品が提供されています。
1.元本確保型商品
元本確保型商品は、元本が保証され、所定の利息が上乗せされる運用商品です。代表的なものに定期預金や保険商品があります。ただし、年間最低2,052円のコストがかかるため、定期預金の年利が低い場合、手数料が利息を上回る可能性があります。資産の増加よりも節税効果を重視する場合に選択されることが多いです。
例
・預金:三菱UFJ銀行確定拠出年金専用5年定期預金
・生命保険:明治安田利率保証年金(20年)
・損害保険:東京海上日動のねんきん博士(10年)
2.投資信託
投資信託は、投資家から集めた資金を運用の専門家が株式や債券などに投資し、その成果を投資家に分配する金融商品です。市場環境や経済情勢により運用成績が変動し、利益が得られることもあれば、損失が出ることもあります。
投資対象による分類:
・国内債券型
・外国債券型
・国内株式型
・外国株式型
『運用方法による分類』
・パッシブ型(インデックス型)
市場平均(日経平均株価など)と同じ動きを目指す運用方法で、手数料(信託報酬)が低めに設定されています。
・アクティブ型
市場平均を上回る収益を目指す運用方法ですが、必ずしも高い収益が保証されているわけではありません。例えば、「米国」に長期投資できる投資信託としては・・・
『インデックス型』
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):米国の主要企業500社に投資するファンドで、S&P500指数に連動する運用を行います。
・楽天・全米株式インデックス・ファンド:米国株式市場で投資可能な約4,000銘柄に広く分散投資するファンドです。
これらは、約60~70%を米国に投資しているため、「米国株式型(S&P500指数)」と同様の値動きになる傾向があります。投資比率を確認し、リスク分散やリターンを考慮して選択することが重要です。
『アクティブ型』
・ひふみプラス:レオス・キャピタルワークスが運用する投資信託で、成長が期待される企業に投資を行います。
『iDeCo』の運用商品選択は、長期的な資産形成に直結するため、慎重に検討することが重要です。繰り返しますが、ガチガチに所得を管理されているサラリーマンの場合は、給与収入の一部を「iDeCo」に振り分ける選択肢もあるかもしれません。
※今日のお話を「Spotifyポッドキャスト」で視聴する→ https://spotifycreators-web.app.link/e/3tCbgYtFDRb