トランプ大統領が打ち出した「全輸入品への一律関税」。世界経済に激震が走り、株式相場にも大暴落が発生中です。なぜいま、再び「関税」なのか?世界との摩擦を承知でトランプ大統領が掲げた強硬な通商政策の裏には、何があるのでしょうか?
その狙いと影響を、経済・市場の動向と併せて整理すると共に。今回の「関税問題」を、「株式投資家」として、どのように考え、どう対応すれば良いのか?改めて、解説していきたいと思います。
1. トランプ関税の経緯
トランプ氏は、2017~2021年の大統領任期中、自由貿易から脱却し、米国製造業の保護を目的とした関税政策を積極的に導入しました。2018年から、中国製品を中心に追加関税を課し、米中貿易戦争を引き起こしたことは記憶に新しいところです。
関税政策は物価上昇や企業収益への悪影響も招きましたが、「米国第一」の旗印のもと、国内の保守層や製造業から一定の支持を受けていました。2021年以降のバイデン政権でも多くの対中関税は維持され、米中の経済対立は構造的な問題として定着。2024年の大統領選に再出馬したトランプ氏は、選挙公約として関税政策のさらなる強化を掲げました。
2. 現在の政策内容と市場の反応
2025年1月に政権復帰を果たしたトランプ氏は、新たな関税政策を実施に移しました。全輸入品に対し一律10%の基本関税を課す(4月5日発効)。日本、EU、中国など主要国には個別の追加関税を上乗せ。
・日本:合計24%(基本10%+追加14%)
・中国:最大約54%
・EU:合計20%他
・自動車・部品には25%の関税
・小額輸入(800ドル未満)への免税措置を撤廃(5月より課税開始)
現状特に明言されているのは中国・香港からの小口配送。これらの政策の発表は、極めて広範囲かつ短期間で、国際的な通商秩序に大きな衝撃を与えました。市場の反応も敏感で、株式市場は関税発表直後に大きく下落。
ハイテク株や消費関連株を中心に時価総額の大幅な減少が見られました。中国や欧州も即座に報復関税を表明し、貿易摩擦の激化が懸念されてのことです。
S&P500指数:最高値2025年1月23日6,118ドルから5,074.08ドルに下落(17.1%下落)。
ダウ平均株価:最高値2024年12月4日4万5,014ドルから3万8,315.86ドルに下落(14.9%下落)。
NASDAQ総合指数:最高値2024年12月16日2万0,173.89ドルから1万5,587.79ドルに下落(22.7%下落)。
当然ながら、僕たちが「成長株」として、集中的に投資している「米国株」も、先週末までに株価が過去最高値対比で20%〜38%も下落しました。
3. トランプ関税の意図と背景
どういう意図があり、「トランプ関税」が発表されたのでしょうか?トランプ大統領が関税政策を前面に押し出した背景には、単なる通商政策を超えた複数の政治的・経済的狙いがあります。
第一に、選挙戦略としての国内製造業支援が挙げられます。米中西部を中心とする製造業の集積地域、いわゆる「ラストベルト」では、過去数十年にわたる産業空洞化への不満が根強く、こうした有権者層に向けたメッセージとして関税政策は強い訴求力を持ちます。「輸入品ではなくアメリカ製を買おう」というシンプルかつ感情に訴える構図が、選挙戦における有効な武器となっているのです。
第二に、対中圧力と国家安全保障の観点が大きな位置を占めています。中国による産業補助金政策や知的財産権の侵害、不公正な貿易慣行に対し、関税は「制裁措置」としての意味を持ちます。さらに、戦略的物資や先端技術を含むサプライチェーンの脱中国化を進めることも、経済的な自立と安全保障の観点から喫緊の課題とされています。
第三に、産業保護および国内雇用の創出という実利的な目的も明確です。関税によって輸入品の価格優位性を削ぐことで、米国内での生産活動を有利にし、企業に対して国内回帰(リショアリング)を促す構造転換を意図しています。これにより、雇用の創出と地域経済の再活性化が期待されており、「保護主義」ではなく「米国再興策」として打ち出されています。
加えて見逃せないのが、他国との再交渉を促す「交渉カード」としての側面です。トランプ氏はかねてより、関税を単なる通商障壁ではなく、交渉で相手国から譲歩を引き出すための実効的な手段と位置づけてきました。「高関税の撤回は交渉次第である」との姿勢を示すことで、米国に有利な二国間協定や市場開放を迫る意図が明確に見て取れます。
こうした多面的な狙いを背景に、トランプ氏は今回の関税政策を「米国の主権を取り戻すための経済的独立戦争」と表現し、従来の自由貿易主義とは一線を画す「新しい通商秩序」の構築を宣言しています。
4. 今後の見通し
トランプ政権が打ち出した強硬な関税政策は、米国内外に大きな波紋を広げながら、今後の経済・外交・市場の方向性を大きく左右する要因となりつつあります。
(1)政策の持続性は高い
現在、上下両院を共和党が掌握しているという政治的背景から、トランプ大統領の関税政策は少なくとも2026年の中間選挙までは高い継続性をもって維持される見通しです。政権与党内では政策への支持が強く、関税を柱とする通商戦略が短期間で大きく転換される可能性は低いと見られます。
(2)企業と消費者への負荷は避けられず
すでに多くの企業が、新たな関税によるコスト上昇に直面しています。製造業や小売業では、部材や完成品の価格上昇分をどこまで最終価格に転嫁できるかが重要な経営課題となっており、企業によってはサプライチェーンの再構築や生産拠点の再配置に踏み切る動きも見られます。特に中国や東南アジアからの輸入に依存してきた業種では、今回の措置が大きな打撃となっており、短期的には供給の混乱と物価上昇の圧力が強まることが予想されます。米国内での生産回帰(リショアリング)による雇用創出が期待される一方で、移行期の痛みをどう吸収するかが、企業経営および家計にとって大きな課題となります。
(3)関税は「交渉カード」としての柔軟性も
トランプ政権にとって関税は目的ではなく、あくまで外交交渉における手段の一つと位置づけられています。今後各国との交渉によって、特定品目への関税緩和や適用除外の拡大が進む可能性もあります。とりわけ注目されるのは、日本や欧州連合(EU)との再交渉の行方です。安全保障や技術協力などで利害を共有するこれらの国々に対しては、早期の譲歩を引き出すために、柔軟な対応が取られる可能性が高いと見られます。交渉の結果次第では、政策の緩和と市場の安定化が図られることも十分にあり得るでしょう。
5. 金利・経済政策・株式市場の見通し(2025年)
2025年の米国経済は、トランプ政権の復帰によって再び大きな転換点を迎えています。中でも、金融政策・財政方針・株式市場の動向は、通商政策の影響と密接に絡み合いながら動いています。
(1)FRBの金利政策:インフレ抑制か、景気支援か
米連邦準備制度理事会(FRB)は現在、政策金利を4.25〜4.50%の水準で据え置き、高止まりするインフレへの対応を優先しています。トランプ政権による大規模関税政策が物価を押し上げる要因となる中、FRBは安易な利下げには踏み切らない姿勢を保っています。しかし一方で、景気後退の兆候が広がりつつあることも事実です。市場では早ければ年後半に0.25%ずつの利下げが最大4回実施されるとの予測も出ており、インフレ動向と景気指標の綱引きが今後の金融政策の焦点となります。
(2)財政政策:関税収入を原資とした減税と産業支援
トランプ政権の財政運営においては、関税収入を財源とした法人税減税と国内産業への支援が中核に据えられています。特に製造業と雇用に直結する分野へのインフラ投資が検討されており、「アメリカに投資する者を富ませる」という大統領の発言にも象徴されるように、米国内でのビジネス展開を優遇する方向性が強まっています。同時に、移民規制強化に伴う人手不足と賃金上昇が、インフレの持続リスクとして浮上しており、経済政策は金融政策と同様、難しい舵取りを迫られています。
(3)株式市場:短期的な波乱と、中長期の米国回帰シナリオ
株式市場は現在、関税政策の影響によるコスト増、米中関係の悪化、中国市場の不透明感などを背景に、テクノロジー株やグローバル企業を中心に下押し圧力が強まっています。S&P500・ナスダック・ダウはいずれも、年初の過去最高値から10〜20%超の調整局面に入りました。
ボラティリティの高い相場展開が続いていますが、貿易摩擦の沈静化と政策の安定が確認されれば、2026年以降の回復基調に転じる余地は十分あります。特に注目すべきは、関税を交渉カードとして使いながら、2026年の中間選挙前に「火消し」へと転じる可能性です。
関税強化によって他国から譲歩を引き出し、一定の合意を経て段階的に関税を緩和していくシナリオは、政権維持の戦略としても合理的です。同盟国である日本や欧州から順次交渉が進められ、中国との対立のみ長期化する可能性が高いと見られています。加えて、米国は「自国に世界の製造業を呼び戻す」ことを目指しており、たとえばトヨタをはじめとする日本企業も米国本土への設備投資を加速させています。
この動きは結果として、円売り・ドル買い圧力を高め、構造的な円安トレンドを促進する要因となるでしょう。円為替市場では、金利の高い通貨を借りて金利の安い円を買う、「逆・円キャリートレード」は長期維持が困難なため、今の水準の円高は一時的にとどまると見られます。実質金利差から算出された為替、148円より円高の水準では、日本円の米ドルへの両替を検討するチャンスとも言える局面ですね。
トランプ発言「私の政策は決して変わらない。富を築く絶好の機会だ。かつてないほど金持ちになれる!!!」
中長期的には、「アメリカで事業をし、投資を行う者が報われる構造」が制度的に強化されていく見通しです。関税による収入を国内減税の原資とし、米国に生産拠点を持つ企業に優位性を持たせる政策は、特に高利益率のテクノロジー業界にとって追い風となる可能性があります。ということで、僕たち「米国株式投資家」としてのスタンスとしては、株価が下がれば下がるほどに、「成長企業」に資金をぶち込みまくりましょう!となります。
これを徹底しておけば、2026年の中間選挙の時には笑えていると思います。株価が元に戻るだけでも、約30%前後も儲かることになりますからね。こういう下落相場の時ほど、やるべきことはシンプルで。各企業の実質的な「理論価値」を見定めるため、「企業研究」に没頭すること。そして、ビジネスで利益を高め、「銀行融資でお金を創る」で資金を積み上げ、見極めた「米国成長株」に、資金をぶち込みまくることです!
早速、4月9日(水)21時〜、今回最も注目される、とある「米国成長株」の企業考察を、約3時間に渡り行います。今回の「トランプ関税問題」を、チャンスに変えて、共に金持ちになりましょう!4月9日(水)21時〜「勝ち確の企業考察」「北の株式投資大学」 https://m.kitasociety.com/k-univ
※今日のお話を「Spotifyポッドキャスト」で視聴する→ https://creators.spotify.com/pod/show/s43vncn03k/episodes/ep-e315qmt