なぜ、空き箱が30箱もあったのか?

扉を、間違えました。とある大富豪のお宅にお邪魔していて、部屋を1つ取り違えたのです。開けた先は、物置のような小さな部屋でした。棚に、緑色の箱が積んでありました。ロレックスの、空き箱です。数えたわけではありません。ただ、ひと目で30箱は超えていました。

中身は、そこにはありません。箱だけが、きれいに重ねてありました。埃もかぶっていません。捨てずに取ってある、という置き方でした。箱があるかないかで、手放すときの値が変わります。それを知っている人のしまい方でした。すぐに閉めました。見てはいけないものを見た気がしたからです。

金庫を覗いたわけではありません。ただの空き箱です。それでも、その家の考え方がそこに全部出ていました。廊下に戻ってから、考えました。みんな、考えることは同じなのだな、と。この大富豪は、時計好きだから集めたわけではないでしょう。好きなだけなら、30本も要りません。1本を長く使うのが、好きな人の買い方です。

30本を並べて、どれもあまり使っていない。これは、別の目的です。箱が残っているということは、中身はどこかにあるということです。金庫か、別の場所か。いずれにしても、使うためにそこにあるのではない。置いてあるのです。不動産のように、登記は要りません。株のように、口座も要りません。ポケットに入る大きさで、国境も越えられます。

そういう性質のものを、あの家は30本ぶん持っていました。メンターの御子息さんの体験談です。メンターの御子息さんが知人の大富豪宅を訪れた時のお話し。その日以来、急に言い出したとのことです。ロレックスを買う、と。数字を見せた覚えはありません。講義もしていません。ただ、箱の山を見ただけです。親が何を言っても動かない年頃です。

その御子息さんが、その日のうちに自分で調べはじめました。世の中では、時計は贅沢品として語られます。見栄のために買うもの。成功したご褒美として買うもの。そういう扱いです。僕も長いあいだ、そう思っていました。腕につけるものに数百万円を出す意味が、分かりませんでした。

けれども、あの部屋にあったのはご褒美の山ではありませんでした。資産が増えるというのは、本当はそういうことです。時計は、現金化の即効性が高い。だから、今使うためのものではありません。いざというときの切り札として、持っておくものです。売ろうと思えば、その日のうちに現金になります。家や土地では、こうはいきません。今日は、そのお話をします。

正規店は、誰に売っていると思いますか?

数字を、2つだけ出します。僕が購入した当時デイトナの116500LNという型は、定価が175万円でした。この型が、市場では黒の文字盤で400万円以上。白で、500万円以上で動いています。定価との差が、325万円あります。時計そのものは、1グラムも変わっていません。GMTマスターIIの126710BLROは、購入当時の定価が1,072,500円。市場では、300万円以上です。

こちらも、定価のおよそ3倍です。相場ですから、上下します。この先も同じ値段が続く保証はありません。下がる年もあります。ここに出しているのは、現在そうなっている、という記録です。それでも、一度この差を見てしまうと、時計の話が別の話に見えてきます。正規店で定価で買えた瞬間に、すでに勝負がついている。

市場で買うということは、その差額を払う側に回るということです。同じ時計を、同じ日に、同じ人が身につけていても、片方は資産で、片方は消費です。腕の上では、見分けがつきません。違いが出るのは、手放すときだけです。僕自身、正規店で定価で買った分が、数千万円分ありました。

その数千万円が、市場の値段ではさらに数千万円分乗っているのです。増やしたのではありません。買えたから、そうなっただけです。運が良かったのか、と言われれば、そうかもしれません。ただ、同じことを続けていました。運の当たる場所に、居続けただけです。ですから、世の中には「ロレックスマラソン」という言葉があります。

デイトナだけを狙う人は、「デイトナマラソン」と呼ばれます。日経新聞にまで記事が出ました。もう、秘密でも何でもありません。誰でも知っています。知られているのに、買える人と買えない人に、はっきり分かれます。それだけの人数が、毎週のように正規店に通っています。

通って、在庫を聞いて、なければ帰る。それを何十回、何百回と繰り返しています。仕事の合間に。昼休みに。出張のついでに。相当な時間が、そこに使われています。

ここで、1つ考えてみてください。同じ店に100回通っても買えない人がいます。その一方で、入荷の日に電話がかかってくる人がいます。店に行かなくても、携帯が鳴ります。取り置きの連絡です。扱っている商品は同じです。通った回数も、それほど変わりません。では、何が違うのでしょうか。

同じ店に100回通っても買えない人は、何が違うのか?

運ではありません。かといって、努力の量でもありません。買えない人は、何件回っても買えません。10軒回っても、同じ店に100回通っても、出てきません。大げさな言い方ではありません。休みの日に電車に乗って、店に入って、在庫を聞いて、5分で出てくる。その繰り返しを、3年続けた方を知っています。

3年です。交通費も、休みの日も、期待も、そこに置いてきました。結果は、1本も出ていません。在庫がないからではありません。店の側から見ると、話は単純です。誰にでも売っているわけではないのです。出す相手を、選んでいます。理由も、はっきりしています。出した1本が翌週に市場へ並べば、自分たちの首が絞まるからです。

ですから、どこの誰か分からない客に、出せるはずがありません。つまり、買えない理由は熱意の不足ではないのです。ROLEXの買い方を知らない人だから。それだけです。しかも、熱心に通うほど、かえって怪しまれることがあります。毎週やって来て、1つの型番だけを聞き続ける客。店から見れば、転売を疑う材料になります。真面目にやっているつもりが、かえって遠ざかっている。

一番つらいのは、その形です。厄介なのは、断られても理由を教えてもらえないところです。今は在庫がありません。返ってくるのは、その一言だけです。本当に在庫がないのか。それとも、自分に出す気がないのか。区別がつきません。つかないまま、また次の店へ向かいます。そして、同じ言葉をまた聞きます。

これを何年も続けている方が、実際にいます。1人で回っている限り、この輪からは出られません。その一方で、入荷の日に電話が鳴る人がいます。特別な話術を持っているわけではありません。最初の入り方が違うだけです。「設計図」を知っているかどうか?その1点だけで、何年ぶんも短くなります。

世の中の扉の多くは、正面から叩いても開きません。横から、名前を添えて入ると開きます。時計に限った話ではないと思います。「地下ソサエティ」のプラチナでは、正規販売店の紹介も行っています。とある店舗が、抽選の対象から外れました。人を連れて行けるようになりました。100回通っている人と、1回目から話が通っている人。同じ商品を、同じ定価で買っています。違うのは、入り口だけです。

9月13日(日)10時に開催します

ここまで、時計のお話をしてきました。ただ、これは時計だけの話ではありません。定価で受け取る側に回るか。市場で高値を払う側に回るか。その2つの間には、はっきりした差があります。1本で、定価と市場価格の差が数百万円を超えます。それが、何本にもなります。

そして、その差を分けているのは、金額の多さではありませんでした。どこに属しているか。誰と情報を共有しているか。それだけです。努力の量ではありません。通った回数でもありません。入荷の日に、誰に連絡が行くのか。そこに、すべてが集まっています。同じことが、株にも、車にも、ワインにも、絵にも起きています。

形が違うだけで、構造はまったく同じです。車なら、どの1台を回してもらえるかです。ワインや絵なら、どの筋から出物の話が来るかです。どれも、値段の話に見えて、実際は席順の話でした。外側にいると、高く買わされます。内側にいると、定価で受け取れます。

そして外側にいるあいだは、その差があること自体が見えません。自分が高く買わされていることに、気づけないのです。気づかないまま、真面目に貯め続けます。富裕層は、ROLEXなどの高級時計を、どうして購入しているのか?僕たちは、どうやって購入しているのか?その秘密を明かしたいと思います。

9月13日(日)10時「地下ソサエティ」の最上級、「プラチナ」の説明会を兼ねたセミナー
◆お申し込みはこちらから→https://m.kitasociety.com/260913

こちらは、金融資産3,000万円以上の方に限らせていただきます。中では、時計だけの話はしません。車も、ワインも、絵も、株も、同じ日に扱います。どこにお金を置けば減らないのか。どこで受け取れば、定価で済むのか。その全体をお見せします。それまで見えていなかったものが、その日のうちに見えるようになります。人生を動かすのは、今、この瞬間です。