もしも、あなたが「一生サラリーマンとして生きる」という決意と覚悟を固めているのなら、これから考えるべきことは明確です。出世や昇進、転職のタイミング、役職定年、そして定年退職後の再雇用制度について、どう向き合うかということになります。
そして、60歳前後に訪れるサラリーマンとしての「終焉の日」までに、老後の生活資金をしっかりと確保できるかどうかが最大の課題です。この資金の額や準備状況は、人それぞれ異なりますが、十分な退職金や年金を頼りに老後をのんびりと過ごす道を選べるなら、それも一つの立派な人生設計だと思います。
この選択をした場合の重要なポイントとして、「中途半端な体制での投資には絶対に手を出さない」ということをお伝えしたいです。事業を持たない状態、または資金が限られている状況で投資を始めてしまうと、自爆的に勝ち負けを繰り返すうちに最終的には損失を被る可能性が非常に高くなります。
ギャンブル的な投資で振り回されるよりも、堅実に貯蓄を続け、余裕のある余生を歩む方がはるかに賢明です。しかし、もしあなたが「起業・独立」という人生プランを真剣に思い描いているなら、話はまったく別になります。自営業者としての活躍、さらには経営者や投資家として成功を目指すのであれば、可能な限り早い段階でその道の正しい知識を学び始めることを強くお勧めします。
まずは副業からでも構いません。最初は小さな規模で始め、学んだ知識を実践しながら、ビジネスを立ち上げる経験を積んでいきましょう。副業として始めることには、失敗しても致命的なリスクを避けやすいというメリットがあります。そして、その中で得た経験は、将来的に本格的な独立や経営者への道を歩む際の大きな武器となるでしょう。
人生には限られた時間しかありません。サラリーマンとしてその道を全うするのか?起業・独立を目指して新たな挑戦を始めるのか?その選択はあなた次第です。ただし、どちらを選ぶにしても、計画性を持って動き出すことが大切です。自分の価値観や目標に基づき、後悔のない人生設計を描いてください。
サラリーマンとして勤め上げる人生
僕は決して、サラリーマンとして人生を全うすることを否定しているわけではありません。それは一つの立派な生き方であり、真面目に取り組んだ分だけ成果が見える安定した道です。サラリーマンとして、地道に出世や昇進を重ね、部長や役員などの役職に到達する。
そして役職定年や定年退職を迎えるころには、これまでの努力の成果として退職金や年金を受け取り、地道に貯めた貯蓄を加えて、ゆったりとした余生を送る。このような人生は、多くの人にとって「成功=シアワセ」といえる一つの形でしょう。例えば、僕の両親を例に挙げると、父は上場企業に勤め続け、リストラや転職を経験することなく、堅実にキャリアを積み重ねました。
最終的には役員待遇にまで昇進しましたが、59歳で緊急入院するほどの病を患い、そのタイミングで退職しました。一方、母は地方公務員として教員職を全うし、定年退職後も再雇用制度を活用して70歳まで勤務。その後、引退して現在は穏やかな生活を送っています。
両親はどちらも生涯を通してサラリーマンとしての道を歩み、その過程で十分な退職金や年金を得て、金銭的な不安のない生活を実現しました。彼らの本棚には起業や投資に関する本は一冊もなく、僕が取り組む自営業や投資の世界の話は少し異質に見えるようです。
こうした背景を考えると、サラリーマンとして地道に勤め上げる人生が「普通」だといえるのかもしれません。そしてその「普通」が十分に尊いものであるとも言えるかもしれません。もしあなたが「一生サラリーマンとして生きる」と決めているのなら、起業や独立といった新たな挑戦に踏み込む必要はないかもしれません。むしろ、サラリーマンに集中した方が良いかもしれません。
・出世・昇進を目指す:どの役職まで到達できるかを目標に設定し、その達成に向けて努力する。
・コンプライアンス遵守:パワハラやセクハラといったトラブルを回避し、失脚を招かない行動を徹底する。
・貯蓄と計画的な資産管理:退職金や年金を見越して、老後の資金計画をしっかりと立てる。
・リスクを避ける:無理な投資や危険な資金運用には手を出さず、堅実な資産運用を心がける。
特に、無計画に投資に手を出すことは避けるべきです。失敗した場合、貯めた資産が失われ、老後の生活に影響が及びます。安全な運用を重視し、資産を守る姿勢が重要です。サラリーマンとして全うする人生は、多くの人にとって安定した選択肢なのかもしれません。
長いキャリアの中で得た貯蓄、退職金、年金をうまく活用しながら、余裕のある老後を送る。それは十分に「成功=シアワセ」といえる生き方なのかもしれません。「成功=シアワセ」の形は人それぞれです。
起業や独立を選ばなくても、サラリーマンとして勤め上げることがあなたにとっての「成功=シアワセ」だと感じるのなら、それを選ぶことも、それはそれだと思います。ただし・・・これはサラリーマンとして、優秀で有能であり続けられることが大前提のお話ですが。
「起業」を目指すなら、早期スタート必至
もしもあなたの人生プランの中に、「起業・独立」を起点とした自営業者としての道が含まれているなら、早めの行動が重要です。可能な限り早期の段階で真剣に学び始め、自分がどのように成長していくべきかを明確にすることが求められます。起業家として成功するには、労働経営者から始まり、経営者、そして投資家へとステップアップする道筋を描くことが不可欠です。
そのためには、将来の目標を逆算した新しい「人生計画書」を作成し、その計画に従って着実に行動することが重要です。特に、サラリーマンとして安定した収入が得られている間に、副業としてビジネスをスタートするのがおすすめです。このタイミングで自営業者としての「失敗しない考え方」と「やり方」の両方を習得しておけば、独立後にスムーズな移行が可能になります。
どれだけサラリーマンとしてのキャリアが長くても、それがそのまま自営業者としての経験値になるわけではありません。サッカーやテニスのルールを本で学んだり、プロのプレーを観たりしても、実際にプレーが上達するわけではありません。
それと同様に、自営業者としての知識を座学で学ぶだけでは、実際に成功するための実力は身につきません。知識をインプットすることと、実際に手を動かしてアウトプットすることは全く別物です。その違いは、これまでの人生でも経験されているはずです。
例えば、僕自身の経験を例に挙げると、中学校時代に剣道で鍛えていたものの、高校でアメリカンフットボールに転向した際には、全くの初心者としてゼロからスタートしました。同じ「スポーツ」という枠組みでも、種目が変わればその感覚は全く別物でした。サラリーマンから自営業者への転換も同様で、異なるスキルと経験、知識が求められるのです。
サラリーマン時代には、会社が用意した枠組みの中で、自分の担当する範囲に集中すればよかったかもしれません。しかし、自営業者となれば、ビジネス全体を俯瞰し、すべての責任を負う必要があります。具体的には、以下のような広範な知識とスキルが求められます。
・会社法人の経営
・決算書や税務の理解
・銀行融資の交渉
・人材活用の戦略
・ビジネス力
・投資力
・・・他。
これらは、サラリーマン時代には経験する機会が少ない分野です。たとえば、サラリーマンとして部下を雇用していても、給与は会社が負担してくれるため、あまり責任を感じずに済んだかもしれません。しかし、自営業者となれば、自分の利益を削ってでも人を雇用する責任を負う必要があります。
また、新しいビジネスに挑戦する際も、サラリーマンであれば会社の資金を使うことが一般的ですが、自営業者では自腹でリスクを負うことになります。この違いは非常に大きく、心構えと計画性が必要です。サラリーマンとして働いている場合、大きな失敗をしても、自分が直接弁償したり給与が減ることは稀です。
しかし、自営業者としての失敗は、すべて自分自身で賄わなければなりません。老後資金を失ってしまった場合、それを取り戻すチャンスは極めて限られています。まさに「ゲームオーバー」となってしまう可能性があるのです。だからこそ、起業を目指すなら早期に行動を起こし、失敗のリスクを最小限に抑えた形で自営業者としての経験を積むことが大切です。
まずは副業として始め、小さな成功を積み重ねながら、自分を高めていく道を選ぶ必要があります。起業・独立は簡単な道ではありませんが、早い段階で準備を始めることで、確実に一歩ずつ前進することができるはずです。
自営業者の世界における「旅人算」の法則
今この瞬間にも、世の中の自営業者たちは真剣に走り続けています。彼らが目指すのは、より良いビジネスの成長や年収の向上、そして「成功=シアワセ」な人生を手に入れることです。しかし、自営業者の世界では、スタート地点が遅いことが、予想以上に大きなハンデとなります。
この事実を理解し、どう行動するかを考えることが、これからの人生を左右すると言っても過言ではありません。現代において、新たな画期的なビジネスモデルが見つかることは稀です。どんな分野であれ、先行者が既に走り始め、多くの経験と知識を積み上げています。
彼らは長い時間をかけて築いてきた実績を持ち、圧倒的な先行者利益を享受しています。そのため、これから自営業を始めようとする方は、どうしても「ピカピカの一年生」として後発スタートを切らざるを得ないのです。たとえば、僕自身、特別な能力があるわけではありませんが、20年以上前から自営業者として走り始め、今なお走り続けています。
この状態で、もしもあなたが今スタートラインに立ったとしたら、たとえどれだけ優秀なサラリーマンとしての経験があったとしても、自営業の世界では「経験ゼロの新入生」となります。ここで注目すべきは、「能力」だけではなく「時間」と「距離」の問題です。
もし僕が20年間走り続けてきた距離を追い越そうとするなら、単に同じ速度で走るだけでは追いつけません。算数の「旅人算」でいう追いつき算の原理が適用されるように、後からスタートする人は先行者よりも圧倒的に速く走り続けなければ、追いつき、追い越すことはできないのです。
さらに、後発スタートには失敗の余裕がありません。遠回りや停滞をしている時間はなく、常に正しいルートを選び、最速で走り続ける必要があります。そのためには、徹底的に「正しい考え方」と「効率的なやり方」を学び、それを実践する覚悟が求められます。子どもの受験勉強を例に挙げると、競争相手は基本的に同年代の学生たちです。
しかし、自営業者の世界ではそうはいきません。年齢も性別も関係なく、老若男女が競争相手となり、過去の偉人たちが積み上げた知識と経験の中で勝負しなければなりません。さらに、ライバルたちも止まることなく走り続けています。そんな中で、もしも「なんとなく起業しよう」などと甘い気持ちでスタートすれば、すぐに行き詰まることは明らかです。
サラリーマンの延長線上で考え、中途半端な準備で飛び込んだとしても、うまくいく確率は極めて低いのが現実です。「サラリーマンを引退した後にゆっくり起業しよう」と考える方もいるかもしれませんが、それは非常にリスクの高い選択です。実際、そのような甘い見通しで起業や投資を始め、結果として失敗し、再起不能に陥ったケースを数多く見てきました。
老後の貴重な資金を失い、人生を立て直す術を失うことも少なくありません。だからこそ、サラリーマンとしての就労期間中に、真剣に自分の進むべき道を考え、自営業者としての未来を真摯に見据えるべきです。もしも起業を選択するなら、早期の準備と行動が鍵となります。
残りの就労人生をどう過ごすか?サラリーマンとしての道を全うするのか?それとも自営業者として新たな道に挑戦するのか?この選択は非常に重要です。そして、その決断を下すタイミングは、早ければ早いほど良いのです。甘い気持ちを捨て去り、しっかりとした計画と覚悟を持って考えることで。未来は大きく変わる可能性があります。
この人生の分岐点で、どの道を選ぶのか、改めて今年一年間を振り返り、もう一度じっくりと考えてみてください。