78倍になった、日本発の会社の話

いま、日本の投資家の間で、静かに、けれど確実に、注目を集めている会社が、あります。キオクシア。NAND型フラッシュメモリの、専業メーカーです。その源流は、1987年。東芝の技術者、舛岡富士雄さんが、世界で初めて発明した、「日本発の技術」に、あります。電源を切っても、記憶が消えない。

あの、半導体です。スマートフォンにも、データセンターにも、あなたのパソコンの中にも、入っています。ふだん、意識することはないのに、いまや、AIの土台を支える存在に、なりました。その会社が、いま、とんでもないことに、なっています。

2024年12月に、上場したときの初値は、1,440円でした。それが、2026年5月に、一時53,490円。6月には、11万2,700円。上場初値から、およそ、78倍です。海の向こうの、GPU企業の話では、ありません。日本で生まれた技術が、いままさに、AIの土台を、支えている。

僕たちは、東京証券取引所で、買えるのです。日本の投資家にとって、これほど、「自分ごと」として、追えるAIテーマは、そう、多くありません。ただ、ここで、多くの人が、立ち止まります。「この急騰は、本物なのか」「キオクシアは、これから長く持てる、投資対象になるのか」「それとも、もう終わった話なのか」この問いに、あなたなりの答えを、持てるかどうか。それが、これからの数年の、投資判断を、大きく左右します。

ニュースを見れば、「メモリ株、急騰」「AI相場、続伸」そんな見出しが、並びます。けれど、その見出しだけを、追いかけていると。上がったところで、飛びつき、下がったところで、怖くなって、手放す。多くの人が、繰り返してきた、失敗の形です。大切なのは、見出しの奥にある、「この業界は、これからどう変わるのか」を、自分の頭で、描けるように、なることです。

昨晩、『北の株式投資大学』の受講生限定の講義で、まさに、この問いを、正面から扱いました。今日は、その講義で、お話ししたことの、「さわり」を、あなたに、お届けします。

史上最高益なのに、株が暴落した日

その前に、7月7日に起きた出来事の話を、させてください。この日、韓国のSamsungが、2026年第2四半期の、暫定決算を、発表しました。営業利益、89.4兆ウォン。前年同期比で、およそ、19倍。3四半期連続の、過去最高益です。文句のつけようがない、完璧な、好決算でした。

ところが、同じ日。Samsung株は、一時10%安、終値でも6.9%安。SK hynixは、6.1%安。キオクシアにいたっては、11.26%安。米国の、MicronやSanDiskも、6%を超えて、下がりました。史上最高益を出した会社が、その発表の日に、一斉に、売られる。この逆説の中に、メモリ業界のいまを読み解く鍵が、全部、詰まっています。

答えを言えば、市場の関心が、移動したのです。「利益が、どれだけ大きいか」から、「その利益は、いつまで続くのか」へ。好材料が、出尽くしたと見た投資家が、利益を確定し、同時に、「このAI投資、本当に続くのか」「メモリ価格が上がりすぎて、いつか需要そのものを、壊すのではないか」そんな警戒が、一気に、表面化しました。

ここには、急騰したあとの株価が、少しの不安でも、大きく振れやすくなる、という事情も、あります。上がりすぎた株ほど、良い材料が出た瞬間に、「ここが天井かもしれない」と、身構える人が、増えるのです。ここで、大事なことが、あります。株価が下がったこととは、裏腹に、現物のメモリ価格は、むしろ、上がり続けている。

そういう、調査が、あるのです。供給の逼迫は、長引く見通しだと、見られています。つまり、株価の一日の値動きと、業界の実態は、いつも同じ方向を、向いているわけでは、ありません。この「ズレ」を、どう読むか。ここに、長期で見る投資家と、短期で振り回される投資家の、分かれ道が、あります。

短期の投資家は、株価という、「気温」だけを、見ます。きょう下がった、きょう上がった。それで、一喜一憂する。長期の投資家は、その裏にある、「気候」を、見ようとします。メモリという素材の需要が、これから10年、構造的に、どう変わっていくのか。そこが読めていれば、一日の気温の上下に、いちいち、手を動かさずに、済むのです。

AIの本当の弱点は「記憶」だった

AIの話をすると、みんな、GPUの話ばかり、します。NVIDIAの、あの、計算する頭脳ですね。でも、どの決算説明会を読んでも、最後に、きまって出てくる言葉が、あるのです。「メモリが、足りない」。NVIDIAのGPUが扱う、データ量は、数年で、10倍以上に、膨らんでいます。

Micronの経営陣は、いまの不足を、「前例のない」ものだと、表現しました。計算する頭脳、GPUの裏側で、データを蓄える、「記憶」の世界に、歴史的な地殻変動が、起きている。NANDは、もはや、「安い保存装置」では、ありません。AIというシステムが、動くための、もう一つの、心臓に、なりつつあります。

Claude、ChatGPT、Geminiといった、生成AIが、あれほど大量の知識を、一瞬で引き出せるのは、その裏側に、膨大な「記憶」を蓄える、半導体が、あるからです。頭脳だけでは、AIは、一歩も、動けません。「メモリはシクリカル、景気循環だから、長期投資には、向かない」これは、数十年、市場の、常識でした。

その定説が、いま、根本から、書き換わろうとしているのか。それとも、「今回は違う」という、いつもの幻想の、再演なのか。先日の、受講生限定講義、「NAND型フラッシュメモリ業界完全考察」では、この業界を担う、主要4社を、1社ずつ、企業考察のフォーマットで、丸裸にしました。

王者、Samsung。NANDシェア首位の、総合力の会社。時代の主役、SK hynix。HBMの王者にして、NAND第2極。契約で戦う、Micron。米国で唯一の、メモリメーカー。そして、発明者の系譜、キオクシア。日本発、NAND専業の、当事者。とくにキオクシアは、日本の読者にとって、特別な、一社です。NANDを発明した、東芝の系譜を、直接受け継ぐ。

世界でも数少ない、NAND専業の、メーカー。総合力で押すSamsungとは、そもそも、戦い方の設計思想が、違います。「専業であること」が、他社にない、強みなのか。それとも、景気の波を、もろに受ける、弱みなのか。この見極めが、キオクシアという銘柄の評価を、大きく、分けます。

続きは、収録動画の中で待っています

ここまでが、講義の、「さわり」です。5年から10年という、視点で見たとき、メモリ業界は、どこへ向かうのか。そして、日本発のキオクシアは、これから本当に、「長く持てる投資対象」に、なり得るのか。この答えを、僕は、メッセージ1本で、書ききるつもりは、ありません。というより、書ききれないのです。

なぜなら、それは、「深さ」でしか、伝わらないからです。1社ずつの、財務。経営者の、歴史。業界全体の、構造。そして、楽観、中立、悲観という、複数のシナリオ。この密度を、文章の羅列で受け取っても、あなた自身の、判断の力には、なりません。だから僕は、この講義の全編を、収録動画として、『北の株式投資大学』の中に、収めました。

エンジニアゼロ。コードスキルゼロ。プログラミング経験ゼロ。そんな状態からでも、AIを相棒にすれば、この一社ずつの徹底考察を、自分の頭で、追えるように、なります。むずかしい専門用語は、AIに噛み砕いてもらえば、いい。大切なのは、知識の量ではなく、「構え」だからです。

これから、答え合わせの材料が、次々に、出てきます。7月10日、SK hynixの、NASDAQ上場。7月29日、SK hynix決算。7月30日、Samsungの、正式決算。8月には、キオクシア決算。その一つひとつを、一緒に、定点観測できる場所。それが、『北の株式投資大学』です。

大富豪直伝の「立体考察法」。予測を、当てにいくのではなく、構えを、持つ。どの株が上がるかを、当てにいく人は、当たった一回で、有頂天になり、外れた一回で、退場していきます。そうではなく、何が起きたら、自分の見立てが、変わるのか。その分岐点を、先に、決めておく。

すると、暴落の日も、暴騰の日も、同じ落ち着きで、見られるように、なります。7月7日、史上最高益の発表と同時に、メモリ株が、一斉に売られた、あの日。あの値動きの意味を、落ち着いて、読み解けるように、なる。それが、この講義で、お渡ししたかった、ものです。キオクシアが、これから本当に、投資対象になるのか。その考察の全編は、収録動画の中で、あなたを、待っています。

●北の株式投資大学に入学して、収録動画を見る日本発の技術がAIの主役になる局面を、日本の投資家として、当事者として追いかける場所です。→ https://m.kitasociety.com/k-univ