「アナログでも、大丈夫?」

10月11日の日曜日と、12日の月曜日。『レベルファイブAI経営マスタリー』の説明会を兼ねたセミナーが、2日間とも終わりました。ご参加いただいた方、お休みの日の朝に、ありがとうございました。事前の質問やコメントをいただいています。

その中に、こんな言葉がありました。「アナログでも、大丈夫なのでしょうか!?」ほかにも、こういう質問が届いています。「AIを使えるようになりたい。」「AIへの効率的な指示のやり方を知りたい。」「AIの答えをどのような基準で決めると良いのか?知りたいです。」「AIの経営への活かし方が知りたいです」「物販していません。これから考えています」

以前の説明会に参加されていて、おさらいの意味も込めてもう一度申し込んでくださった方もいらっしゃいました。並べてみると、根っこは同じところにあると思います。AIを使いこなすには、何を身につければいいのか?あなたも、同じことを考えたことはありませんか?

よく言われるのは、操作を覚えることです。新しいAIが出たら、すぐに触ってみる。パソコンに詳しい人ほど有利で、アナログな人ほど不利になる。そう思われがちです。僕の見方は、少し違います。使えるようになる近道は、操作を覚えることではありません。AIに、どんな言葉を渡すかです。

操作は、半年もすれば変わります。新しいAIが出るたびに、画面もボタンも入れ替わります。言葉は、道具が替わっても手元に残ります。ここが分かっていれば、アナログかどうかは、あまり関係がなくなります。そして、この話は、来年に向けてもっと大事になっていきます。

その兆しは、もう出ています。Metaは9月8日に、アメリカで「Muse(ミューズ)」というAIを出しました。「250ドル以下で一番いい機内持ち込みバッグを買っておいて」そう頼むだけで、調べて、比べて、支払いまで済ませてしまうAIです。これから本格的に広がっていくのは、答えを返すだけのAIではなく、頼めば代わりに動いてくれるAIエージェントだからです。

調べて、比べて、書いて、確かめるところまで、AIが仕事を受け渡しながら仕上げていく。そういうAIに仕事を任せるとき、最後にものを言うのは、こちらが渡した言葉です。ですから、備えておくべきことも、操作の暗記ではなく、渡す言葉の準備だと思っています。

セミナーで、お話ししたこと

では、2日間のセミナーで何をお話ししたのか?その中身を、かいつまんでお伝えします。最初は、同じ日に同じAIを開いた2人のお話でした。1人目は、「いい感じの提案書を作って」と打ち込みます。2人目は、誰に向けた提案書なのか、相手は何に困っているのか、読み終えたあとにどう動いてほしいのかを、言葉にして渡します。

返ってくるものは、まったく違ってきます。最初にお聞きしたのは、3つの質問でした。AIに、昨日と同じ説明を今日もしていませんか?AIが返してきたものを、毎回、大きく書き直していませんか?あなたが寝ている間に、AIが進めてくれている仕事はありますか?1つめと2つめに「はい」なら、レベル1か2。3つめに「はい」と言えたら、レベル3の入口です。

僕の見立てでは、これからの仕事には、最低でもレベル3が要ります。業務のいくつかを、AIに任せられるところまでです。そこから、僕自身の話もしました。2026年の2月、長年システムを任せていたエンジニアが急逝しました。プログラミングの知識がない僕の手元に残ったのは、狙った文章を書く力だけでした。

その力だけを頼りに、物販、サービス、情報、飲食のすべての事業を、AIに任せる形に組み直してきました。いま、僕がやっているのは、方向を決めることと、最後の判断を下すことです。そのあとは、AIに渡す言葉を3つの層に分けてお話ししました。いちばん下は、目的と価値観と判断の基準。これを「OS」と呼んでいます。

真ん中は、仕事や商売の前提。いちばん上は、うまくいった手順を残した「スキル」です。「答えの基準をどう決めればいいのか?」という質問への答えも、ここにあります。基準は、AIに聞く前に、あなたが先に決めておくものです。そして、その基準ごとAIに渡しておく。

「効率的な指示のやり方」への答えも、同じところにあります。いちばん効率が悪いのは、毎回ゼロから説明することです。うまくいった指示は、スキルとして保存しておく。次からは、ひと言で呼び出せます。

いまは、アンソロピック、オープンエーアイ、グーグルの3社のAIが、同じファイルをそのまま読めます。後半では、自宅のMac miniが、24時間、SNSの運用から動画の仕上げまで回している仕組みについても、お話ししました。

数字が示す、差のつき方

この「渡す言葉」の話は、僕の体験だけで言っているのではありません。セミナーでは、いくつかの研究もご紹介しました。まず、会社の側の数字です。野村総合研究所が517社に行った調査では、生成AIを「導入済み」の会社が57.7%まで増えました。ところが同じ調査で、「リテラシーやスキルが不足している」と答えた会社は70.3%。道具は入った。でも、使う人の側が追いついていないのです。

1つめは、OpenAIとハーバード大学などの研究者による分析です。ChatGPTの約150万件の会話を調べたところ、仕事に関するやり取りの40%が、「文章を書く」ことでした。

2つめは、MITの研究者がScience誌に発表した実験です。大学を出た専門職453人に、文章の仕事をしてもらいました。ChatGPTを使った人は、かかる時間が40%短くなり、仕上がりの質が18%上がっています。しかも、もともと成績が低かった人ほど、伸びが大きかった。

「アナログでも、大丈夫なのでしょう!?」この質問への答えの1つが、ここにあると思います。スタンフォード大学とMITの研究者が、カスタマーサポートの担当者5,179人を調べた研究でも、同じ傾向が出ています。AIの支援で、生産性は平均14%上がり、経験の浅い人では34%上がりました。苦手だと思ってきた人ほど、AIと組む意味があるのです。

3つめは、ボストン コンサルティング グループとハーバード大学などの研究です。コンサルタント758人のうち、AIの得意な範囲の仕事では、仕上がりの質が40%以上上がりました。ところが、AIの得意でない範囲の仕事では、正しい答えにたどり着く割合が、19ポイント下がっています。

何をAIに任せ、何を自分で確かめるのか?その線を引かないまま丸ごと任せると、かえって下がってしまう。ここが、いちばん大事なところです。AIエージェントは、任せられる範囲がいまよりずっと広くなります。任せる範囲が広がるほど、線を引く基準を持っているかどうかで、結果の差も広がっていく。

来年、AIエージェントが当たり前になったとき、基準を言葉にしてある人は、そのまま任せられます。言葉にしていない人は、毎回、答えを確かめて直すところから始まります。同じAIを使っていても、1年後の景色は、まるで違ってくるのではないでしょうか?

収録動画は、いまからでも・・・

AIを使いこなす近道は、操作を覚えることではなく、渡す言葉を準備しておくことです。来年、AIエージェントが本格的に広がる前に、その準備を固めておく。残された時間は、10月、11月、12月。10月も半ばに入りましたから、年末まで、実質2か月半です。この2か月半で、やっておいてほしいことは3つあります。

1つめは、目的と価値観と判断の基準、OSを書き出すこと。2つめは、自分の仕事や商売の前提を、AIに渡せる形にしておくこと。3つめは、うまくいった手順をスキルとして残し、業務のいくつかをAIに任せるレベル3まで上がっておくことです。

まずは、あなたが毎週くり返している仕事を1つ選んでください。その手順を、箇条書きで書き出してみる。それが、最初のスキルの下書きになります。どれも、特別な道具は要りません。ご自分のパソコンと、あなたの言葉があれば始められます。どれも、年明けに慌てて始めるより、年内に手をつけておくほうがずっと楽になります。

年が明ければ、周りも動き出します。それに、12月はオフの合宿がお休みです。年内に、オフの世界で手を動かせる機会は、もう多くありません。※年内の『地獄のAI合宿』の開催日は、10月23日(金)、11月23日(月・祝)の2回です。

2日間のセミナーは終わりましたが、収録動画をご用意しています。当日、都合がつかなかった方も、中身はそのまま受け取れます。レベルを確かめる3つの質問。3つの層の渡し方。研究の数字。そして、Mac miniを24時間動かしている仕組みのお話まで、すべて入っています。

下のフォームから登録しておいていただければ、あとから受け取れます。見終わるころには、年末までに何から手をつければいいのか、その順番がはっきりしていると思います。あなたの仕事のうち、最初にAIへ渡す言葉はどれか?その答えが、収録動画の中で手に入ります。

もしもまだ、『レベルファイブAI経営マスタリー』に参加できていないとしたら、年末を迎える前に、収録動画だけは受け取っておいた方がよいですね。

『レベルファイブAI経営マスタリー』説明会を兼ねたセミナー収録動画
◆お申し込みはこちらから→https://m.kitasociety.com/261011-12

答えを確かめて直す毎日から、基準を渡して任せる毎日へ。来年に向けた準備を、この2か月半で固めておきましょう!