2024年から開始された、「新NISA」に取り組もうとする際。自力で情報収集し始めると、非常に高い確率で目で飛び組んで来るのが。「新NISA」の「つみたて投資枠」で購入可能な、「全世界株ファンド・オルカン」だと思います。
「オルカン」こと、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」インターネット上でも、様々な投資系の情報発信者の情報と巡り合うことができます。「オルカン」は、情報発信社たちからの評価がとても高くて、大手証券会社各社が発表している「買付ランキング」でもトップ3に入っていることが多いです。
けれども、実際のところ、この「オルカン」は、「新NISA」の投資対象銘柄としてどうなのでしょうか?今日は、「北の株式投資大学」としての「オルカン」に関する考察を公開したいと思います。
2種類の投資信託(ファンド)
投資信託(ファンド)には、大きく分けて2種類あります。
・インデックスファンド 「日経平均株価」や「S&P500」など、「指数」との連動を目指したファンド
・アクティブファンド ファンドマネージャーの独自の売買判断により、「指数」を上回る成績を目指したファンド
過去の主要投資信託の結果を追跡していくと、「独自」の「アクティブファンド」よりも、「指数連動」のインデックスファンドの方がパフォーマンスが良いものが多いです。しかも、「独自色」が強ければ強いほど、「維持手数料」的なものが高く、
・結局はパフォーマンスが悪い
・手数料が高いと、
「アクティブファンド」には、なかなかメリットが見いだせない場合が多いです。
「独自」とか「ファンドマネージャー」などに期待をすればするほど、期待が裏切られるというのは、実際の結果を検証することで見えてくる部分であります。「インデックスファンド」か?「アクティブファンド」か?の二択だったら、「インデックスファンド」を選択する方が良いと思います。その「インデックスファンド」の中でも代表的なものが、「MSCI指数」です。※MSCI:モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル
「MSCI指数」の中の指数の一つが「ACWI」。※ACWI:オール・カントリー・ワールド・インデックス
「オルカン」はこの、「MSCI・ACWI」との連動を目指している「インデックスファンド」です。モルガン・スタンレー社(MSCI)のオールカントリーワールドインデックス(ACWI)では、
・投資対象国:先進国23カ国・新興国24カ国の計47カ国
・投資銘柄数:対象国に上場する約2,900銘柄
・世界の株式市場の時価総額の約85%をカバー
「オルカン」一つに投資をするだけで、世界の株式市場の約85%に投資をできるというわけです。
「オルカン」の投資対象国は?
「オルカン」では、どのような基準で「約85%」を選定されているのか?
1つ目に、実際に市場で売買される可能性が高い株式であるということです。上場されていても、その企業の株式の多くを、親会社が持っていたり、政府が持っていたり、企業間で持ち合っていたり、市場で売買される可能性が低い株式は対象に入りません。
2つ目に、時価総額が大きい銘柄に沢山投資をする「ACWI」は、世界47カ国の約2,900銘柄に同じ金額ずつ投資をしているわけではありません。
・時価総額が大きい銘柄に沢山投資をする
・時価総額が小さい銘柄には少しだけ投資をする
「時価総額=株価x株式数」ですので、時価総額が大きい企業なので、株価が高い人気企業に沢山投資をするということになります。
47カ国の大型株:上位70% ← ◯投資する
47カ国の中学株:中位15% ← ◯投資する
47カ国の小型株:下15% ← x投資しない
例えば現在では、アメリカの市場が全世界の約50%が米国市場。「オルカン」を購入すると、その内約50%を、米国株を購入することになりますが、実際に全ての国が投資対象となっているわけではないので、約60%以上が米国市場に投資していることになります。
「全世界」と言いながら、世界196カ国ある中で、その内たったの47カ国しか投資していないからです。これは、モルガン・スタンレーの方で、
・先進国
・新興国
・フロンティア
と、世界各国の国を3種類に分けて、フロンティア市場は、新興国と比べて国の規模が小さく、株式市場も未成熟なので、株式取引の流動性が低い市場ということで、除外しているのです。
例えば、「アジア」でいうと、ベトナムやパキスタンなどが、フロンティア市場ということになります。また、ロシア、ウクライナと言った内戦・紛争など、戦争をしていたり、貧困の問題を抱えたりしている国は、「投資不適格市場」として判断されており。「フロンティア」同様に、投資対象にもなりません。
こうした投資対象国・企業の選定は、自動的に行われているので。投資家は、放ったらかしで、安心した状態で、長期視点の投資に臨めると言った体制が整えられているのです。
「オルカン」の平均利回りは何%?
「投資」をする目的は、「投資した資金を増やすこと」です。どれだけ素晴らしい、コンセプトの「投資案件」でも、実際に資金が増えなければ意味がありません。この目的基準から見た時、「オルカン」は投資対象案件としてどうなるのか?過去の結果を見ると、過去約30年間の平均リターンは、年率約7%(単利)。過去約10年間の平均リターンは、年率約8.5%(単利)。と言ったところです。
「オルカン」は、分配金などを出さない案件なので、ファンド内で発生した配当金は、全て再投資されます。
2024年3月時点・組入上位10カ国
・アメリカ:62.1%
・日本:5.5%
・イギリス:3.3%
・フランス:2.8%
・カナダ:2.6%
・スイス:2.2%
・ドイツ:2.0%
・インド:1.7%
・台湾:1.6%
2024年3月時点・組入上位10業種
・情報技術:23.2%
・金融:15.5%
・ヘルスケア:11.0%
・一般消費財・サービス:10.8%
・資本財・サービス:10.4%
・コミュニケーションサービス:7.3%
・生活必需品:6.3%
・エネルギー:4.2%
・素材:4.0%
・公益事業:2.3%
・・・ということですが、正直、分散すればするほど、「数撃ちゃ当たる」的な状態になっていることが分かってしまいます。
当然ながら、これだけ沢山の国と、業種の沢山の企業に投資をしていれば、中には伸びるものもあるでしょうが。「株式市場」の特性上、長期視点で成長する企業はごく一部であり、大多数の企業は、成長するどころか、衰退していく・・・というものがあるので。ごくごく一部の、素晴らしい成長を見せる企業のパフォーマンスを、その他大勢の衰退企業が足を引っ張る・・・という図式になってしまっていることが分かります。
それでも、日本の銀行口座に、日本円で預貯金で保有し続けるよりは、「年間平均7%」なのでマシというのが正直なところです。
「オルカン」に投資すべきかどうか?
僕たち「北の株式投資大学」の受講生たちにとって、「株式投資」で目指すところは、「5年で5倍、10年で10倍、 でも案外5年で10倍になることもある」ですので、まだまだこれから「株式投資」で資金を増やしたい方々にとっては、「オルカンでは物足りない」ということになると思います。
昨年、僕たちが投資対象としている「成長株」は、たったの1年間で約1.7倍〜3倍程度増加しましたが。「オルカン」ではそういうことは起こり得ません。
「オルカン」は、「北の株式投資大学」の生徒たちのように、個別で「成長株」を見極めて、「成長株」に投資をし続ける人たちにとっては、あまり意味は無いが、日本の銀行での預貯金しか知らない完全ド素人たちにとっては「やらないよりはマシ」ということになると思います。
また、「成長株」が何たるかを理解していなくて、「株主優待が良いから・・・」など、意味のわからない理由で、個別株に手を出してしまっている方々にとっても、良い案件ということになります。
しかし、やはり「成長株」を見極めて、長期視点で株式投資に臨む投資方法とは比較にならない程、低い利回りでもありますので。この部分を理解した上で、限られた資金を「オルカン」に投資をするかどうかを考えてもらいたいと思います。「投資信託」に投資をするにしても、「個別株」に投資するにしても、どちらにしても、しっかりとした投資で勝つための根拠を固めておくことが重要です。
その根拠を、徹底的に学ぶために、「北の株式投資大学」がありますので。本気で「株式投資」で勝ち続けたいという場合は、「北の株式投資大学」で、基礎から学んで頂くのが賢明と思います。
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