800万が560万になる日は、もう決まっています

今日から、何回かに分けて、50代からの、お金の話を、していきます。景気の話でも、根性の話でも、ありません。制度として、そう設計されている、という話です。まず、事実から、確認します。50代以降の、会社員の年収は、三段階で下がります。

一段階目は、役職定年。55歳前後で、部長や課長の職から、自動的に外れます。年収800万だった方が、560万になる。そういう水準です。二段階目は、再雇用。60歳前後で、定年を迎えたあと、再雇用の契約に移ります。560万が、300万になる。三段階目は、年金です。大学を出て、22歳から65歳まで、勤め上げた男性の平均で、月におよそ20万円。年におよそ240万円。

ここで、多くの方が、口をそろえて言うことが、あります。仕事の中身は、それほど変わっていない。机も、同じ場所にある。やっている作業も、去年とほとんど同じ。それなのに、年収だけが、減った。この感覚が、いちばん、こたえるのだそうです。もし、仕事が減ったのなら、納得もできます。責任が軽くなったのなら、受け入れられます。

けれど、そうではない。同じ仕事を、同じようにしているのに、金額だけが、落ちていく。ここに、理屈が、通らないのです。数字も、確認しておきます。調査では、役職定年を経験した方の、9割が年収減を経験し、そのうち6割が、仕事への意欲の低下を、経験しています。同じ調査で、およそ4割の方が、年収が半分未満にまで、落ち込んだと、答えています。

別の調査でも、役職定年の前後で、年収は平均23.4%の下落。およそ6割が、仕事への意欲と、会社への貢献意欲が、下がったと回答しています。その理由として、挙げられているのは、給与の大幅な減少。年下の上司との、付き合いづらさ。これまでのキャリアや、技術を、活かせないこと。そして、会社から期待されていると、感じられないこと。

まだ何も起きていないのに、心が折れ始める

ここまでは、すでに起きた方の話です。ところが、この問題の本質は、もう少し手前に、あります。まず、給与が下がる。意欲が、下がる。会社からも、期待されなくなる。だから、成果が上がらない。すると、「あの世代は、割に合わない」という見方が、社内で強まっていく。その見方が、次の処遇の見直しに、つながっていく。この輪が、ぐるぐると、回り始めます。ここまでなら、まだ、分かる話です。

問題は、その次でした。50代の社員は、自分の処遇が、まだ何も、見直されていない段階で。60代の先輩の心境を、先取りしてしまう。そして、同じ輪の中に、入ってしまう。まだ、何も起きていない。役職定年は、数年先の話。給料も、今月は変わっていない。それなのに、心のほうが、先に折れ始めている。これが、50代の現在地です。

僕は、この分析を読んだとき、ずいぶん、残酷なことが、起きているな、と、思いました。実際に何かを失う前に、失うであろう未来を、先に受け取ってしまう。人間の想像力が、悪いほうに、働いてしまうのです。しかも、支えになるはずのものが、次々と、細くなっています。

かつて、最後の砦だった、退職金。今では、2割の企業に、退職金の制度そのものが、ありません。制度がある会社でも、平均の支給額は、年々、減り続けています。体のほうも、同じ時期に、変化します。体力が落ちる。集中力や、判断力の、切れ味が鈍る。更年期の症状が、出てくる方も、いらっしゃいます。家庭の中でも、役割が変わります。子育てが、一段落する。責任は軽くなるはずなのに、家の中での自分の居場所が、かえって、曖昧になる。

その一方で、親御さんが、後期高齢者になっていく。介護が、視野に入ってくる。調査では、中年期の不安を、はっきり自覚している方が、15.8%。もしかしたらある、と答えた方が、35.1%。合わせると、半数を超えます。注目したいのは、その内訳です。「はっきりある」よりも、「あるかもしれない」の方が、はるかに多い。

つまり、多くの方が、正体の分からない、もやもやしたものを、抱えたまま、過ごしている。はっきりした敵なら、戦えます。けれど、正体の分からないものは、戦いようが、ありません。そして、そこへ追い打ちをかけるように、新しいことを学べ、という圧力が、年々、強まっています。

ここに、見過ごされている問題が、一つあります。各種の調査の中に、50を過ぎて、若手と一緒に学び直すのが、苦痛である。そういう声が、実際に、報告されています。学び直しなさい、と言われる。その場に行くと、20代、30代の中に、自分だけが座っている。

分からないことを、その場で聞けない。聞けば、分かっていないことが、知られてしまう。だから、分かったふりをして、うなずいておく。家に帰ってから、一人で調べ直す。それでも、追いつかない。次の回に、足が向かなくなる。学び直しの場そのものが、苦痛になっている。これが、50代の、率直な感覚です。

周りは期待している。あなた以外は

ここで、少し意外な調査結果を、お伝えします。僕は、これを知ったとき、姿勢を正しました。50代の社員に関する、意識調査があります。その中で、新しい技術や知識を身につけ、経験のない仕事に取り組む。この点について、質問がされています。20代から40代の社員は、50代の社員には、その力があると、評価していました。そして、期待もしていました。

ところが。50代の社員自身は、どう答えたか。自分には、その力が低い、と自己評価し。新しいことに取り組む意欲も、低いと、答えていました。周りは、期待している。本人だけが、自分を、見限っている。ここに、はっきりとした、ズレがあります。デジタルの道具に、ついていけない。そういった項目についても、同じことが起きています。

20代から40代の社員よりも、50代の社員のほうが、それを課題だと感じている、割合が低い。周りは、そこまで問題視していないのです。もう一つ、転職や再就職の場面でも、同じ構造が現れます。2026年1月に、50代の男女400人に対して、行われた調査があります。

最も多かった不安は、年齢でした。求人の条件に、年齢の制限が書かれていなくても。本当に、この年齢で採用されるのだろうか、と、感じる方が、半数を超えています。若い世代と、比べられるのではないか。書類の段階で、不利になるのではないか。その懸念が、最初の一歩を、ためらわせている。

同じ調査では、こうも指摘されています。50代には、積み重ねてきた経験と、判断力と、人と向き合う力という、大きな強みがある。ただ、それをどう伝えればよいのか、分からない。強みがないのでは、ありません。強みの、伝え方が、分からないのです。ここまで見てきて、一つの形が、浮かび上がってきます。

50代を苦しめているのは、能力の不足では、ないということです。制度の設計と。まだ起きていない未来を、先取りしてしまう心と。自分で自分を、見限ってしまう評価と。この三つです。そして、このうちの二つは、自分の側で、動かせるものです。

ならば、何を持てばいいのか?

ここまでの話を、整理します。年収は、三段階で下がる。これは、制度です。避けられません。体力と集中力も、落ちていく。これも、自然のことです。止められません。けれど、残された時間は、有限です。若い頃なら、失敗しても、やり直す時間がありました。

50代、60代となると、失った時間を取り戻すのは、難しくなります。やり直す余力も、限られてきます。ならば、どうするのか。答えは、一つしか、ありません。働いて得る収入だけに、すべてを、賭けないことです。会社から給料をもらう。この一本の柱だけで、立っているから、その柱が細くなったときに、全部が、傾いてしまう。

柱を、増やすのです。もらう。稼ぐ。創る。増やす。回す。この五つの入り口を、それぞれ持っておく。これが、僕が長年かけて確かめてきた、大富豪直伝の訓え「5ポケッツ戦略術」の、骨組みです。ただし。ここに、たった一つだけ、弱点があります。五つの入り口を、一人で回すには、手が、足りないのです。

平日は、本業があります。体力は、落ちていきます。時間は、限られています。それを、どう解決するのか。ここに、AIが入ってきます。エンジニアゼロ。コードスキルゼロ。プログラミング経験ゼロ。その状態から、AIを、自分の手足として、育てていく。手が足りないのなら、手を、増やせばいい。体力が落ちるのなら、落ちない相手に、持たせればいい。

50代に必要なのは、もっと頑張ることでは、ありません。5ポケッツ戦略術と、AI経営本部。この二つを、組み合わせて持つことです。今日は、ここまでにします。次回は、そもそも、お金とは何なのか?同じ1億円でも、どこから来た1億円かで、手元に残る額が、まるで違う。その話をさせて頂きます。