最初の一回だけは、やり直しが効かない

物を仕入れて、売る仕事は、何度でも、やり直せます。うまくいかなくても、そのつど、学びながら、先へ進める。出品して、売れなければ、値段を変えて、また出せばいい。失敗しても、明日また、挑めます。ところが、銀行からお金を借りる。この、三つ目のポケットには、一度だけ、やり直しの効かない、場面があります。

それが、新規創業融資です。会社を起こして、まだ、二回の決算を、迎えていない社長。いわば、生まれたての、会社です。まだ、実績が、ありません。通信簿にあたる決算書が、そろっていない。銀行から見れば、判断する材料が、ほとんど、ないのです。僕は、この最初の一回で、つまずいてしまう人を、これまで、何人も、見てきました。

準備が、甘いまま、勢いだけで、面接に、臨む。そして、答えに、詰まってしまう。もったいない、と、いつも、思います。なぜなら、この最初の一回だけは、提出する書類と、面接での受け答えが、すべてを、決めるからです。ここでつまずくと、生まれたての会社は、出だしで、つまずいてしまう。

けれど、安心してください。この、やり直しの効かなさは、最初の一回、かぎりです。無事に借りて、毎月の返済を、きちんと重ね、二回の決算を、乗り越えれば。会社は、実績を持った、一人前になります。そこから先は、通常の事業融資や、追加の融資という、いわば、顔なじみの世界に、入っていきます。

一度、関係を築いた銀行とは、二度目、三度目の、やりとりになる。最初ほどの、気の張り方は、いりません。向こうも、あなたの会社の、決算書を、すでに、何期分か、見ています。毎月の返済を、きちんと、続けてきた。その事実が、何よりの、信用になる。

はじめは、書類と受け答えだけが、頼りだったのが、今度は、積み上げた実績が、あなたの代わりに、語ってくれる。つまり、勝負どころは、はっきりしています。生まれたての会社が、はじめての一回を、くぐり抜ける。そこに、すべての準備を、注ぎ込む。

ここさえ、越えられれば、あとの道は、ぐっと、なだらかになります。言いかえれば、いちばん、気を張るべきなのは、たった一度、最初の関門だけ。ならば、その一点に、準備のすべてを、集中させればいい。やることが、はっきりすれば、不安は、ずいぶん、軽くなります。

疲れない相手だから、際限なく準備できる

では、その最初の一回に、どう備えるのか。ここで、AIの力が、いちばん、効いてきます。なぜなら、一発勝負の準備とは、こちら側で用意したカンニングペーパーとフォーマットを元に、忠実に資料を用意すること。それに、尽きるからです。面接で、聞かれそうなことを、想定された答えが予め用意されている。

これを忠実に自分用に再現する。これが、一発勝負を制する、数少ない、確かな道です。けれど、現実には、ここをちゃんとやり切れる人は、ほとんど、いません。一人で、正解にたどり着くのはほぼほぼ不可能だからです。ところが、AIは、テンプレート通りに再現させるのが得意です。さらに、仮に何度、書き直させても、一度も、嫌な顔を、しません。想定問答を、三十作ったとしても、疲れることが、ないのです。

人間なら、もういいだろう、と思う地点の、その先まで、準備を、積み上げられる。これが、一発勝負のポケットに、AIが効く、いちばんの理由です。しかも、この融資には、もう一つ、大きな特徴が、あります。借りたお金が、そのまま、手元に残る。設備を買うための借金なら、お金は、業者に、振り込まれて、消えます。

たとえば、店を建てるために借りれば、その資金は、建設会社に、渡って、終わりです。手元には、返済の義務だけが、残ります。けれど、この「5ポケッツ戦略術」に基づく融資は、違います。自由に動かせる現金として、手元に、積み上がる。何に使うかを、自分で、決められる、お金です。一生かけても、自分では貯められない金額を、一気に、そばに置ける。だからこそ、最初の一回の準備に、これだけの手間を、かける値打ちが、あるのです。

AIを銀行員にして、何度でも面接する

具体的に、AIは、何を、してくれるのか?まず、やることは、融資の設計図を、まるごと、AIに読ませることです。どういう書類を、どうそろえ、銀行員が、どこを見るのか。その一式を、覚えさせて、自分専属の、融資のマネージャーを、育てます。ここで、一つだけ、気をつけることが、あります。

世間に出回っている、ありふれた融資の話は、混ぜないでほしい。そう、はっきり、伝えることです。銀行との付き合いには、長年、積み上げられてきた、独特の、作法があります。その作法に、沿った準備でなければ、意味が、ありません。ここからが、本番です。そのAIに、銀行員の役を、演じてもらう。

あなたの計画書を読んだうえで、質問を厳し目の質問を一つずつ、投げてほしい。そう、頼むのです。すると、AIが、融資担当者に、なりきって、質問を、してきます。なぜ、この商売を、選んだのか。返済の、見込みは。うまくいかなければ、どうするのか。あなたが、答えると、その答えの、弱いところを、指摘して、次の質問に、進んでくれます。

ここで、起きることが、とても、大事です。答えに、詰まる。その瞬間に、自分が、どこを、分かっていないかが、はっきりと、見えるのです。ふだんは、分かっているつもりで、いても、いざ、声に出して、説明しようとすると、言葉が、続かない。それは、理解が、浅いところ、だからです。

詰まった場所は、いわば、自分の準備の、穴です。その穴を、一つずつ、埋めていく。本番の面接で、詰まれば、それで、終わりです。けれど、相手がAIなら、詰まったところを、その場で、潰して、もう一度、挑めます。人間の面接官は、三十回も、付き合っては、くれません。AIは、何度でも、付き合います。

こうして、一度きりだったはずの本番が、積み上げていく、練習に、変わるのです。はじめて、これをやったとき、多くの方が、同じ感想を、もらします。最初は、ものの数分で、言葉に、詰まる。

自分の商売のことなのに、いざ問われると、うまく、説明できない。けれど、五回、十回と、繰り返すうちに、少しずつ、すらすらと、言葉が、出てくる。気づけば、どんな角度から、聞かれても、落ち着いて、答えられる自分が、そこに、います。

本番までに、勝ち癖をつける

準備の差は、そのまま、結果の差になります。ぶっつけ本番で、面接に臨む人。予行を重ねてきた人。同じ計画書を、出しても、受け答えの、落ち着きが、まるで、違います。銀行員は、毎日、たくさんの、社長と、会っています。準備してきた人と、そうでない人の違いは、ほんの、数分の会話で、すぐに、見抜かれます。

どれだけ、立派な計画書でも、それを、自分の言葉で、語れなければ、熱意は、伝わりません。逆に、予め準備を整え、練習を重ねた人は、多少、計画に、粗があっても、この社長になら、貸してみたい。そう、思わせる力を、持っています。ただし、ここで、はっきり、お伝えしておくことが、あります。

AIが出してきた数字は、必ず、自分の目で、確かめる。段階を、飛ばさない。これをを、守れる人だけが、このポケットを、使いこなせます。逆に言えば、この節度さえ守れば、AIは、これ以上ないほど、頼りになる相棒に、なります。眠らずに、何十通りもの計画書を、書き分けてくれて、厳しい面接官にも、やさしい面接官にも、なりきってくれる。

こんな相談相手は、どれだけお金を積んでも、なかなか、雇えるものでは、ありません。それが、月々の、わずかな費用で、いつでも、そばにいてくれる。使わない手は、ないのです。五つのポケットの、三つ目。創る、というポケットは、一度きりの勝負を、疲れない相手と、何度でも、予行できる。

そこに、大きな意味が、あります。エンジニアゼロ。コードスキルゼロ。プログラミング経験ゼロ。その状態から、Claude、ChatGPT、Geminiという、三つのAIを、自分の手足として、育てていく。最初の一回を、くぐり抜ければ。あとは、実績を持った会社として、事業融資や、追加融資の道が、なだらかに、続いていきます。

その、はじめの一歩を、いちばん確かな形で、踏み出す。それが、三つ目のポケットに、AIを組み込む、ということです。今日は、ここまでにします。次は、四つ目のポケット。増やす、というポケットに、AIを、どう組み込むのか。株式への投資の話を、していきます。