なぜ、順番待ちだった車が、余り始めたのか?

講義の場で、こんな話を聞きました。「フェラーリの即納車の案内が、昨日も来ました」即納車です。注文して、順番を待つのではありません。もう出来上がっている車の、乗り手を探しています。案内は、代表を通じて回ってくるそうです。以前は、買う側が頼み込むものでした。

今は、売る側から声がかかります。立場が、入れ替わりました。「即納」という言葉は、以前は褒め言葉ではありませんでした。売れ残り、という意味に近かったからです。その言葉が今、案内の見出しに出てきます。2年前、3年前には、考えられませんでした。あの頃は、注文を入れても、順番が回ってきませんでした。限定車は、抽選でした。

当たった人が、うらやましがられました。買えた時点で、すでに得をしていました。納車の日には、もう値上がりしています。中古の相場が、新車の定価を上回っていました。手放すつもりで買う人までいました。乗るために買う人と、置くために買う人が、同じ列に並んでいました。

それが今は、案内のほうから届きます。しかも、その限定車が、定価割れを起こし始めています。新車で買った値段より、中古の相場が下がっている、ということです。限定車で、です。世の中の常識では、高い車ほど、値が落ちません。限定と付けば、むしろ上がるはずです。長いあいだ、そう思われてきました。

今は、その逆が起きています。もともと、車は特殊な買い物です。新車は、乗り出した瞬間に値が下がります。それが、当たり前でした。けれども、ごく一部の車だけは、その常識から外れていました。外れていたからこそ、資産の話の中に入ってきました。その、外れていたはずの一部が、戻り始めています。

車が悪くなったわけではありません。作りは、以前より良くなっています。値段も、上がっています。それでも、余ります。売る側が下手になったわけでもありません。理由は、車の側にはありません。買う人の側にあります。先に、結論をお話しします。買ったものを、持ち帰れるかどうか。

その1点で、資産性は真逆に分かれます。今日は、そのお話をします。車のお話に見えると思います。けれども、中身はお金の置き場所の話です。どこに置けば、減らないのか。その1点だけを、今日も追いかけます。

僕のまわりでは、どんな車の選び方をしているのか?

仲間内で、メルセデスのGクラスに乗る人が増えました。1人ではありません。「Gクラスホルダーズ」と呼べる状態です。GLBからG450dへ乗り換えた人もいます。僕も、Gクラスの最高位にあたる「G63」を約3,200万円で購入しました。集まると、車の話になります。

ただ、出てくる話が少し違います。普通、車の話といえば、馬力です。内装です。乗り心地です。仲間内では、その話はあとに回ります。まわってくるのも、車種の名前ではありません。どこで買って、いくらで売れたか。その数字です。誰かが手放せば、その値段がすぐに共有されます。相場が、机の上にあります。

先に出るのは、2つです。1つは、個人で持つか、会社法人で持つか。もう1つは、2、3年乗ったあとに、購入価格以上で売れるかどうか。会社法人と連動させた節税の話まで、その場で出ます。乗りたいから買う、という順番ではありません。買う前に、売るときの値段を見ています。

出口から入り口を決めています。買ってから考えると、遅いからです。相場は、買った日から動き始めます。売るときになってはじめて相場を見る人は、だいたい損をします。そして、その物差しで見たときに、今の変化は無視できません。日本の株価は、過去最高値の水準にあります。

それなのに、自動車の相場は上がっていません。株も上がりました。ブランド品も上がりました。車だけが、取り残されています。理由は、はっきりしています。買い手が、そこに住んでいる人に限られるからです。海外から来た方は、株を買って帰れます。バッグも、持ち帰れます。不動産は、住まなくても持てます。

車は、持ち帰れません。買い替えて持ち帰れるもの。不動産。株式。ブランド品。これは、強いままです。買い替えて持ち帰れないもの。車です。こちらは、徹底的に弱くなります。ですから、中古の在庫が品薄になりません。それどころか、買う人がいません。持っておく理由がなくなれば、なおさらです。

置き場所にも、保険にも、税金にも、お金がかかります。動かさなくても、毎年出ていきます。売れないから、値を下げる。値を下げるから、次に買う人も様子を見る。その繰り返しに入っています。車が嫌われたのではありません。買える人の範囲が狭いまま、値段だけが上がりました。それだけのことです。

値上げは、ブランドを強くしたのでしょうか?

以前は、はっきりとした序列がありました。ロールスロイス。フェラーリ。ポルシェ。メルセデス・ベンツ。値段の並びが、そのまま格の並びでした。どこに乗っているかで、だいたいの位置が分かりました。値段が、そのまま説明でした。誰も、中身を確かめませんでした。

その並びが、崩れました。ベンツが、値段を上げすぎました。上の価格帯と、横一直線になりました。すると、ベントレーやベンテイガのほうが安い、という逆転が起きます。装備は、ほとんど同等です。それなら、そちらのほうがどれだけいいか。そういう話になります。原材料も上がりました。人件費も上がりました。為替も動きました。

上げる理由は、どのメーカーにもあります。値上げをすれば、売上はすぐに増えます。けれども、並びが崩れます。並びが崩れると、上の名前を選ぶ理由がなくなります。一番損をするのは、上にいたブランドです。名前で買われていたからです。そして、選ぶ側も疲れます。何を基準に選べばいいのか、分からなくなるからです。

分からないとき、人は買いません。同じことが、時計でも、ハイブランドでも起きています。国内では、レクサスが売るものがないほど売れています。輸入メーカーの車を1,000万円で買うのだったら、700万円で買ったレクサスのほうが、いい車が来ますよ。売り場では、そう言われるそうです。

グレードが、ひっくり返りました。1,000万円より、700万円のほうが上に来る。近年、これほどの入れ替わりはありませんでした。売るものがない、というのは、在庫がないという意味です。注文しても、待たされます。待たされる側に、国産車が回ってきました。

以前は、逆でした。待つのは、輸入車の側だと決まっていました。その位置が、そっくり入れ替わっています。値上げは、ブランドを強くしません。序列を壊します。そして、序列が壊れると、中古の相場が読めなくなります。出口が読めなくなる、ということです。

出口の読めないものに、大きな金額は置けません。もちろん、これは今の相場の話です。為替も、需給も、ブランドの力も動きます。この先も同じとは限りません。それでも、持ち帰れるかどうかという構造のほうは、変わらないと思います。

9月13日(日)10時に開催します

車のお話をしてきました。ただ、これは車の話ではありません。手元のお金を、どこに置くか。その話です。置き場所を分ける問いは、2つだけです。買った人のほかにも、買いたい人がいるか。その人が、持ち帰れるか。この2つがそろっているものは、値が落ちにくくなります。

片方でも欠けると、弱くなります。車は、2つ目で欠けます。だからといって、車を買うな、という話ではありません。乗りたい車には、乗ればいい。僕のまわりも、そうしています。ただ、資産として数えてはいけないだけです。ここを混ぜると、5年後の勘定が狂います。

家計簿の上では、どちらも同じ金額です。違いが出るのは、手放す日です。その日は、何年も先にやってきます。そして、この見分けは、カタログを読んでも身につきません。雑誌にも、書いてありません。実際に買って、実際に手放した人の話を聞くのが、一番早い。いくらで買って、いくらで売れたか。そこまで見て、はじめて資産かどうかが決まります。

本物の富裕層を目指すためには、こうした購入した瞬間に資産性が高まるモノの知識武装も重要です。その正しい情報を学べる場所が、「地下ソサエティ」の最上級「プラチナ」です。その説明会を兼ねたセミナーを明後日の日曜日、朝10時から開催します。

9月13日(日)10時「地下ソサエティ」の最上級、「プラチナ」の説明会を兼ねたセミナー
◆お申し込みはこちらから→https://m.kitasociety.com/260913

こちらは、金融資産3,000万円以上の方に限らせていただきます。中でお話しするのは、車の話だけではありません。時計も、バッグも、ワインも、絵も、株も、同じ日に扱います。どれも、出口から見ていきます。いくらで手放せるのか。それを、誰が買いたがるのか。その2つを、1つずつ当てはめます。バラバラの趣味の話ではありません。

どこに置けば、5年後に残っているのか。問いは、最初から最後まで1つです。あの日、講義で聞いたのは、即納車の案内が届くという話でした。ほんの数年前まで、順番待ちだったものです。変わったのは、車ではありません。買える人が、どこにいるか。それだけです。人生を動かすのは、今、こうした判断の積み重ねです。